柏オープンキャンパス特集

2011年12月号 [第45号]新領域創成科学研究科特集 
[PDF] [新領域創成科学研究科] [特別企画] 

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10月21、22日に東京大学の柏キャンパスでオープンキャンパスが開催されました。柏キャンパスは本郷、駒場に続く第 3 のキャンパスで学問の新たな領域を探ることに挑戦しています。そのため、会場には魅力的な展示がたくさんあり、大人から子供まで幅広い年齢の方が興味深そうに説明を聞いていました。今回は数ある展示の中からいくつかをピックアップして紹介します。

仮想空間であそぶ


CGのボールを使ってお手玉
3D映像でとてもリアル

 ここでは現実には存在しないコンピュータ上のCGに触れることができます。手に取り付けたグローブ状の装置で現実の手の動きをコンピュータ上の手に伝えることでCGに触れることができるのです。指の動きまで正確に伝わるので、本当にそこに物体があるかのようなリアルな仮想体験ができました。このような技術が普及すれば動画や音楽とは異なる全く新しいメディアコンテンツが誕生する可能性があります。


マッハ7の風


密度の変化を利用して風が当たる様子
を映像化している。図中の物体は氷
空気摩擦で高温になり氷が溶けている
ことがわかる

ロケットなどが大気圏に突入するとき、機体は強烈な風を受けます。そのような「極超音速」と呼ばれるマッハ7の風を発生させることができるのが、この風洞と呼ばれる装置です。風速が速くなると、それにともない空気摩擦も大きくなり熱が発生します。この熱は機体に重大な影響を与える可能性があります。そのため風洞でシミュレーションを行い強烈な風に耐えられる材料の研究が行われているのです。このような研究は次世代の超高速旅客機の開発にもつながります。


未来のプラズマ発電


超電導で浮かせたコイル(写真中央部)
の 周りにプラズマを
引き寄せて保持している

気体に大きなエネルギーを与えると原子核と電子が解離したプラズマ状態になります。プラズマからは核融合によるエネルギーが得られるのですが、プラズマ自体は発生してもすぐに消滅してしまいます。ここでは、超電導を利用する新しい手法でプラズマを長時間保持する研究を行なっています。プラズマを長時間保持し、プラズマによる発電を実用化できれば、火力発電よりクリーンで原子力発電より安全なエネルギー源が得られることになり、エネルギー問題の解決につながるでしょう。
※原子力発電の核分裂とプラズマの核融合は別の反応です。


地球に隕石が衝突!?


衝突実験の様子。弾丸は目に見
えないほどの速さ。

隕石は莫大なエネルギーを持つため、地球に衝突するとクレーター形成など、様々な現象を引き起こします。この装置では、下部のガラスビーズを敷き詰めた模擬地面に向かって、上部から隕石を模したプラスチックの弾丸をおよそ秒速100 mで発射することで、隕石衝突の様子を再現することができます。生命の起源、恐竜の絶滅など隕石衝突は地球の歴史の転換に大きく関わった可能性があります。隕石の衝突を研究することで地球に対する知見を深めることができるのです。




(レポーター 本山央人)


2011年12月号 [第45号]新領域創成科学研究科特集 
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